あれ・・・
どこに置いたっけ
あの名刺・・・
そう、あの日の夜、あの彼からもらった名刺
彼とは、もともとあたしの方が最初に知り合って、あたしもちょっとひかれていた
あたしの方が、彼とたくさん話していたはずなのに・・・
あたしには全然連絡がない
尚美にばっかり、何で・・・
彼が尚美に、好意を持ったのなら、それはそれで仕方のないこと・・・
よくよく考えてみれば、前に駅で二人きりでいたとき、偶然会ったという尚美の言葉をすっかり信じてしまっていた
だって、以前の尚美なら嘘なんてつけるはずがないから・・・
でも、今の尚美のこと思うと、信じきれなくなる
それに、尚美は、彼氏がいることを、ちゃんと彼に話したのだろうか?
彼は、尚美に彼氏がいるのを知っているの?
知らないで誘っているというなら、彼のことは責められないわ
だけど、もし知ってて誘っていたとしたなら・・・
一体、どうなのよ
そう、この前の夜、あのバーへ尚美に呼び出されたときは、あたしも冷静さを欠いていたわ
まさか、あんな尚美を見るとは思ってなかったから・・・
あったわ
これよ
そう、この名刺よ
(株)○△電機
代表取締役社長 遠藤 鷹
どうも、今はやりのIT関連の電気会社の社長みたいね
そうだわ、彼はあの夜、初対面のあたしに対して、スマートで丁寧な言葉使いだった
そう、今まで出会ってきた男とは違うと感じだったわ
社長か・・・納得ね
でも、まさか・・・
まさか、こんなことで使うことになるなんて・・・
冬の寒さも和らぎかけた土曜日の午後・・・
拓也はアパートの部屋の中で一人考えごとをしていた
尚美は、俺のこと嫌いになったのだろうか?
どうも、最近の尚美はいつも何か考えごとをしてる気がしてならない
二人でTVを見てるときも
二人で食事をしてるときも
二人で街を歩いてるときも
車の助手席に座ってるときも
いつも
いつも
そう、いつも携帯ばかり気にしている
俺と尚美の携帯に付いてるお揃いのストラップ
最近は、毎日、毎日それが尚美の携帯に付いてるのを確認するだけで
俺は、ちょっと安心する・・・
なぜだよ
尚美に優しく接すれば、接するほど彼女は離れていくような気がする
そして、想えば想うほど彼女は、遠くへ行ってしまうような・・・
俺は、どうしたらいい
尚美を振り回していたはずの俺が、気が付けば尚美に振り回されている
拓也は、何か歯車が狂い始めているのを、あきらかに肌で感じとっていた
ピッピッピッ
「もしもし、遠藤さんですか?麗子です・・・・あっ、はい尚美の友達の麗子です。あの、ちょっと会いたいんですが・・・はい、では今晩ですね。・・・はいお待ちしてます」
カシャッ
ふーっ、これでよしっと
思ったわりに、すんなりアポとれちゃった
今晩だわ・・・
麗子は、鏡の前に座り、いつもより念入りにメイクを始めた
その自信に満ち溢れた表情は、久しぶりに見せる百戦錬磨の麗子の姿だった
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2006年01月22日
2006年01月20日
第四話 Thought to shake
最近、尚美はちょっと憂鬱だった
まだ、イヴの出来事から一ヶ月も経っていないのに
私、最近・・・
何か違うの・・・
何かが・・・
先日、尚美は拓也と駅前の映画館に最新作のロードショーを観に行った
そのときも、こうだった
「尚美、面白かった?」
映画を観終わって、隣に座っていた拓也が聞いてきた
「あっ、う、うん・・・」
映画館に行く前は、拓也が観たい映画なら何でもいいって、思ってた
だから、アクション物でも何でもいいって言ったんだけど・・・
正直、面白いとかつまらないとかじゃなくて・・・
面白くないとかそんなじゃなくて・・・
あーなんか、何て言えばいいんだろう
拓也の優しさに、私は答えられてない
「つまらなかった?」
拓也は、優しく尋ねてきた
近くにいるだけで、拓也の優しい雰囲気が伝わってくる
でも、心から面白かったって表現が出来なくて・・・
知り合った頃の私だったら言えたのかなって・・・
嘘でも、面白かったって言えたのかなって・・・
私、いつからかあんまり笑わなくなった
そして、拓也もあまり笑わなくなった
だから、最近のデートの最後はいつもけんかばかり
バイバイも言わないときがある
なんで、こうなっちゃったんだろう
こんなの・・・
全然、楽しくない・・・
私・・・
真冬だというのに、日差しが照りつける午後、仕事中にもかかわらず尚美は携帯を手にとっていた
「あっ、もしもし麗子」
「ちょっと相談したいことがあるの・・・」
「急にどうしたのよ?」
「あのね・・・拓也のことなんだ・・・」
「わかった、けんかしたんでしょっ、拓也と?」
「違うの・・・麗子・・今晩、いつものバーに来てくれる?お願いっ・・・私、ずっと待ってるから・・・」
そう言って、尚美は携帯を閉じた
その夜、いつものバーに尚美と麗子の姿があった
いつもなら、カウンターに座っているはずの尚美が今日はテーブル席にいた
おかしいわ
麗子の心の中で何かを感じとった
尚美の顔、いつもの可愛らしい感じはどことなく失せ雰囲気が変わっていた
いや、薄暗い照明のせいでそう見えるのかもしれない
いや違うわ
ファッションもヘアースタイルも何もかも変わっていた
そして、すぐに気付いた
尚美・・・
メイクまで変わったんだ
「あのね、麗子」
尚美が、いきなり話し始めた
「あっ、ちょっちょっ待ってよ、尚美っとりあえず何かドリンク頼もうよ」
・・・
尚美は、目線を下に落としながら、かすかな声でつぶやいた
「麗子、座って・・・お願い」
麗子は、その重く苦しい雰囲気に従わざるをえなかった
「私、拓也のこと好きかどうかわからなくなってきたの」
尚美は、いきなり切り出した
「えっ?」
そして、今までの出来事を麗子に一部始終話し始めた
「そっか」
麗子は、話を聞き終え一言そうつぶやいた
そして
「尚美さぁ、男と女が二人でつきあうってこと、どういうことだかわかる?」
「あのね、もともと、他人同士が一緒にいるってことは、価値観だって生活パターンだって全く違う二人が一緒にいるってことだよ。だから、合わないのは当たり前なの。でも、お互いに少しずつ、お互いのこと理解しあうように努力しなきゃ。尚美、拓也のこと好きなんでしょ・・・理解しようと努力してるの?」
・・・
・・・
「麗子・・・実はね」
尚美は、おもむろに顔を上げながら言った
「私ね、拓也と付き合って、拓也の私への想いが日に日に強くなっていくのがわかるの。でもね、その想いが強くなればなるほど、私、どうしていいのかわからなくなって・・・」
尚美は話を続けた
「それに拓也ね、最近、あんまり笑わなくなったの。だから、私も笑えなくなって・・・そんな日が続いて・・・私、拓也のこと、あまり好きじゃないのかなって思えてきて・・・それで・・・」
麗子は、しびれをきらしたかのように答えた
「それで・・・?それで、何よ?尚美、拓也は本当に尚美のことが好きなんだよ。あたしには、わかるの。なんで、そんなこと言うの」
いつの間にか、麗子はムキになって答えていた
尚美は、きょとんとしていた
麗子は、先日のタバコの件、尚美に話したかった
けど、それは言えない
そう、言えないのよ
それを言ってしまったら・・・
「尚美には、拓也が笑わなくなった理由、何か心当たりないの?」
麗子は、聞いた
「麗子、何怒ってるのよ。それに、なんで私を責めるの?麗子は、私のせいだっていいたいんでしょ?私は・・・私は・・・心当たりなんてないんだから」
尚美には、麗子が、なぜこんなにも拓也をかばうのか不思議だった
「麗子、もしかして、まだ・・・拓也のこと・・・好き・な・・の?」
「何、言ってるのよ、尚美っ。あたしは、ただ・・・」
「麗子は・・・やっぱり・・・まだ・・・」
「だから、違うってば」
尚美には、麗子の気持ちが理解できなかった
ただ、麗子の思いを疑っているだけだった
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まだ、イヴの出来事から一ヶ月も経っていないのに
私、最近・・・
何か違うの・・・
何かが・・・
先日、尚美は拓也と駅前の映画館に最新作のロードショーを観に行った
そのときも、こうだった
「尚美、面白かった?」
映画を観終わって、隣に座っていた拓也が聞いてきた
「あっ、う、うん・・・」
映画館に行く前は、拓也が観たい映画なら何でもいいって、思ってた
だから、アクション物でも何でもいいって言ったんだけど・・・
正直、面白いとかつまらないとかじゃなくて・・・
面白くないとかそんなじゃなくて・・・
あーなんか、何て言えばいいんだろう
拓也の優しさに、私は答えられてない
「つまらなかった?」
拓也は、優しく尋ねてきた
近くにいるだけで、拓也の優しい雰囲気が伝わってくる
でも、心から面白かったって表現が出来なくて・・・
知り合った頃の私だったら言えたのかなって・・・
嘘でも、面白かったって言えたのかなって・・・
私、いつからかあんまり笑わなくなった
そして、拓也もあまり笑わなくなった
だから、最近のデートの最後はいつもけんかばかり
バイバイも言わないときがある
なんで、こうなっちゃったんだろう
こんなの・・・
全然、楽しくない・・・
私・・・
真冬だというのに、日差しが照りつける午後、仕事中にもかかわらず尚美は携帯を手にとっていた
「あっ、もしもし麗子」
「ちょっと相談したいことがあるの・・・」
「急にどうしたのよ?」
「あのね・・・拓也のことなんだ・・・」
「わかった、けんかしたんでしょっ、拓也と?」
「違うの・・・麗子・・今晩、いつものバーに来てくれる?お願いっ・・・私、ずっと待ってるから・・・」
そう言って、尚美は携帯を閉じた
その夜、いつものバーに尚美と麗子の姿があった
いつもなら、カウンターに座っているはずの尚美が今日はテーブル席にいた
おかしいわ
麗子の心の中で何かを感じとった
尚美の顔、いつもの可愛らしい感じはどことなく失せ雰囲気が変わっていた
いや、薄暗い照明のせいでそう見えるのかもしれない
いや違うわ
ファッションもヘアースタイルも何もかも変わっていた
そして、すぐに気付いた
尚美・・・
メイクまで変わったんだ
「あのね、麗子」
尚美が、いきなり話し始めた
「あっ、ちょっちょっ待ってよ、尚美っとりあえず何かドリンク頼もうよ」
・・・
尚美は、目線を下に落としながら、かすかな声でつぶやいた
「麗子、座って・・・お願い」
麗子は、その重く苦しい雰囲気に従わざるをえなかった
「私、拓也のこと好きかどうかわからなくなってきたの」
尚美は、いきなり切り出した
「えっ?」
そして、今までの出来事を麗子に一部始終話し始めた
「そっか」
麗子は、話を聞き終え一言そうつぶやいた
そして
「尚美さぁ、男と女が二人でつきあうってこと、どういうことだかわかる?」
「あのね、もともと、他人同士が一緒にいるってことは、価値観だって生活パターンだって全く違う二人が一緒にいるってことだよ。だから、合わないのは当たり前なの。でも、お互いに少しずつ、お互いのこと理解しあうように努力しなきゃ。尚美、拓也のこと好きなんでしょ・・・理解しようと努力してるの?」
・・・
・・・
「麗子・・・実はね」
尚美は、おもむろに顔を上げながら言った
「私ね、拓也と付き合って、拓也の私への想いが日に日に強くなっていくのがわかるの。でもね、その想いが強くなればなるほど、私、どうしていいのかわからなくなって・・・」
尚美は話を続けた
「それに拓也ね、最近、あんまり笑わなくなったの。だから、私も笑えなくなって・・・そんな日が続いて・・・私、拓也のこと、あまり好きじゃないのかなって思えてきて・・・それで・・・」
麗子は、しびれをきらしたかのように答えた
「それで・・・?それで、何よ?尚美、拓也は本当に尚美のことが好きなんだよ。あたしには、わかるの。なんで、そんなこと言うの」
いつの間にか、麗子はムキになって答えていた
尚美は、きょとんとしていた
麗子は、先日のタバコの件、尚美に話したかった
けど、それは言えない
そう、言えないのよ
それを言ってしまったら・・・
「尚美には、拓也が笑わなくなった理由、何か心当たりないの?」
麗子は、聞いた
「麗子、何怒ってるのよ。それに、なんで私を責めるの?麗子は、私のせいだっていいたいんでしょ?私は・・・私は・・・心当たりなんてないんだから」
尚美には、麗子が、なぜこんなにも拓也をかばうのか不思議だった
「麗子、もしかして、まだ・・・拓也のこと・・・好き・な・・の?」
「何、言ってるのよ、尚美っ。あたしは、ただ・・・」
「麗子は・・・やっぱり・・・まだ・・・」
「だから、違うってば」
尚美には、麗子の気持ちが理解できなかった
ただ、麗子の思いを疑っているだけだった
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2006年01月06日
第二話 After a long time
「はぁー、お正月も終わりかぁー」
麗子は、大きなため息をつきながら言った
「でも、まだ5日だし・・・まだまだこれからだよ」
尚美は、申し訳なさそうに言った。
お正月、尚美はずっと拓也と一緒だった
初詣も初売りもずっと一緒にだった
楽しくて、おかしくてずっとお正月休みだったらなって思うぐらい
拓也とつきあって、こんな何日もずっと一緒にいれたのはいつ以来のことだろう
麗子のこと・・・
ずっと気にしていたけど会える時間なんて本当なかった
お正月が終わり、拓也の仕事も始まりいつものペースに戻りつつあった
それで、今日は尚美から久々に麗子を誘ってみたのだ
そう、二人きりで呑むために
思えば、年末からずっと麗子の誘いを断ってきた
何度、麗子に「ゴメン」と言ったことか・・・
初日の出の時もバーゲンの時も、ずっと断りっばなし
そのたびに、麗子は「うん、わかった」としか言わなかった
よく、TVドラマや雑誌なんか見てると、「愛情をとるか友情をとるか!?」なんて話題があった気がする
他人事のような気持ちで、「やっぱ愛だよー」とか「親友は裏切れないよねー」とか軽い気持ちで話していたことが、いざ現実になるとどっちも大切だと思っちゃう
これって、わがまま?
本当、みんなはこんな時、どうしてるのだろう?
早く麗子にも、いい男見付かれば、カップルデート出来るのになぁー
最近、尚美は、いつもそんなことばかり考えていた・・・
時計は、23時を少し回ったところ・・・
いきつけのバーのカウンターで二人は横に並んで、お気に入りのカクテルを呑みながら話していた
尚美は、あまりアルコールに強くないが、ベルモット・カシスがお気に入り
色がキレイだし、雰囲気が好き
麗子は、お酒の種類や名前にも詳しくて、いつもその日の気分でオーダーする
今日は、ブランデーベースにクレームド・ペシェ、レモン・ジュースでシェイクしたものをマスターにお願いしていた
尚美に久しぶりに会えたうれしさと正月が終わったはかなさが、そんな気分にさせたのだろう
「ねー麗子」
尚美がおもむろに話しかけた
「麗子って、今好きな人いる?」
「えっ、何よ、いきなりー」
麗子が慌てながら言った
「麗子ってさ、男友達っていっぱいいるけど、好きな人はどうなの?いるんでしょ、一人ぐらい?二人、三人とか言わないでよー」
尚美は、ちょっとおどけながら聞いてみた
「あっ、えっ」
麗子は、戸惑った
尚美は間髪いれず続けざまに聞いた
「ねぇー、麗子って美人だから、一人や二人ぐらいチェックしてる人いるんだよねー、ねぇー」
麗子は意を決したかのように言った
「もちろん、いい男いっぱいいるよ、うじゃうじゃとねっ」
尚美は何もわかってない
麗子は、心の中でそうつぶやいていた
今の尚美は、どこからどう見ても幸せそうに見える
確かに、拓也と出会ってから尚美はキレイになったし、どことなく余裕が感じられる
それが、余計に眩しく見える
だからといって、可哀想がられると、余計に哀れになるもの
あたしは、いつも、自分から積極的に恋愛してきた、だからって・・・
あのね、尚美・・・
あたしだって、弱気になるときはあるんだよ
壊れそうな心を隠すために、強がるときだってあるんだよ
たまには、あたしだって男の子に振り向いてほしいときだってあるんだよ
「あたしだって・・・」
麗子は心の中でポツリとつぶやいていた・・・
隣のボックス席を見ると、スーツを着た中年の男性が、20は年が離れてそうな女の子と呑んでいる
仕事上の上司と部下、いや不倫、いやいやきっとアフターか何かなのだろう
二人とも何も考えてなさそうな感じ・・・
女の子の甲高い笑い声と、中年男性のバカっぽそうな顔がTVの中の1コマに見える
麗子は、ふと思った
あたし、尚美に嫉妬してるの?
これって、ジェラシー?
今まで、こんな気持ちになったことなんてない
麗子は、慌てて化粧室へ駆け込んだ
「あたし、ちゃんと笑えてる」
「顔、ひきつってないよね」
鏡の前で、何度も確認した
自分のプライドと、尚美に悟られたくない思いが交錯していた
「よしっ、大丈夫っ」
から元気でもいい
とにかく今は、明るくならなきゃ!
席へ戻って窓の外に目をやると、また雪が降りはじめていた
ふと、カウンターの上にある時計を見ると、もう二時になるところ・・・
そろそろ帰ろうかと思い始めたその時だった。
「バタンっ」
バーの扉が開いた。
続きを読む
麗子は、大きなため息をつきながら言った
「でも、まだ5日だし・・・まだまだこれからだよ」
尚美は、申し訳なさそうに言った。
お正月、尚美はずっと拓也と一緒だった
初詣も初売りもずっと一緒にだった
楽しくて、おかしくてずっとお正月休みだったらなって思うぐらい
拓也とつきあって、こんな何日もずっと一緒にいれたのはいつ以来のことだろう
麗子のこと・・・
ずっと気にしていたけど会える時間なんて本当なかった
お正月が終わり、拓也の仕事も始まりいつものペースに戻りつつあった
それで、今日は尚美から久々に麗子を誘ってみたのだ
そう、二人きりで呑むために
思えば、年末からずっと麗子の誘いを断ってきた
何度、麗子に「ゴメン」と言ったことか・・・
初日の出の時もバーゲンの時も、ずっと断りっばなし
そのたびに、麗子は「うん、わかった」としか言わなかった
よく、TVドラマや雑誌なんか見てると、「愛情をとるか友情をとるか!?」なんて話題があった気がする
他人事のような気持ちで、「やっぱ愛だよー」とか「親友は裏切れないよねー」とか軽い気持ちで話していたことが、いざ現実になるとどっちも大切だと思っちゃう
これって、わがまま?
本当、みんなはこんな時、どうしてるのだろう?
早く麗子にも、いい男見付かれば、カップルデート出来るのになぁー
最近、尚美は、いつもそんなことばかり考えていた・・・
時計は、23時を少し回ったところ・・・
いきつけのバーのカウンターで二人は横に並んで、お気に入りのカクテルを呑みながら話していた
尚美は、あまりアルコールに強くないが、ベルモット・カシスがお気に入り
色がキレイだし、雰囲気が好き
麗子は、お酒の種類や名前にも詳しくて、いつもその日の気分でオーダーする
今日は、ブランデーベースにクレームド・ペシェ、レモン・ジュースでシェイクしたものをマスターにお願いしていた
尚美に久しぶりに会えたうれしさと正月が終わったはかなさが、そんな気分にさせたのだろう
「ねー麗子」
尚美がおもむろに話しかけた
「麗子って、今好きな人いる?」
「えっ、何よ、いきなりー」
麗子が慌てながら言った
「麗子ってさ、男友達っていっぱいいるけど、好きな人はどうなの?いるんでしょ、一人ぐらい?二人、三人とか言わないでよー」
尚美は、ちょっとおどけながら聞いてみた
「あっ、えっ」
麗子は、戸惑った
尚美は間髪いれず続けざまに聞いた
「ねぇー、麗子って美人だから、一人や二人ぐらいチェックしてる人いるんだよねー、ねぇー」
麗子は意を決したかのように言った
「もちろん、いい男いっぱいいるよ、うじゃうじゃとねっ」
尚美は何もわかってない
麗子は、心の中でそうつぶやいていた
今の尚美は、どこからどう見ても幸せそうに見える
確かに、拓也と出会ってから尚美はキレイになったし、どことなく余裕が感じられる
それが、余計に眩しく見える
だからといって、可哀想がられると、余計に哀れになるもの
あたしは、いつも、自分から積極的に恋愛してきた、だからって・・・
あのね、尚美・・・
あたしだって、弱気になるときはあるんだよ
壊れそうな心を隠すために、強がるときだってあるんだよ
たまには、あたしだって男の子に振り向いてほしいときだってあるんだよ
「あたしだって・・・」
麗子は心の中でポツリとつぶやいていた・・・
隣のボックス席を見ると、スーツを着た中年の男性が、20は年が離れてそうな女の子と呑んでいる
仕事上の上司と部下、いや不倫、いやいやきっとアフターか何かなのだろう
二人とも何も考えてなさそうな感じ・・・
女の子の甲高い笑い声と、中年男性のバカっぽそうな顔がTVの中の1コマに見える
麗子は、ふと思った
あたし、尚美に嫉妬してるの?
これって、ジェラシー?
今まで、こんな気持ちになったことなんてない
麗子は、慌てて化粧室へ駆け込んだ
「あたし、ちゃんと笑えてる」
「顔、ひきつってないよね」
鏡の前で、何度も確認した
自分のプライドと、尚美に悟られたくない思いが交錯していた
「よしっ、大丈夫っ」
から元気でもいい
とにかく今は、明るくならなきゃ!
席へ戻って窓の外に目をやると、また雪が降りはじめていた
ふと、カウンターの上にある時計を見ると、もう二時になるところ・・・
そろそろ帰ろうかと思い始めたその時だった。
「バタンっ」
バーの扉が開いた。
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2005年12月23日
第一話 Christmas Time
明日は、イヴ
「クリスマスは、会おうって約束にしてたのに・・・」
尚美は心配だった・・・
そう、あれは一ヶ月前のこと
拓也は最近、私の親友の麗子とすごく仲がいい
私といるときより笑顔が多いし、メールだって毎日してるみたい
メールぐらいなら・・・
そのぐらいなら、いいよね
そんなことで、グチャグチャ言うかっこ悪い女にはなりたくない
でも、最近どうも拓也の様子がおかしい
電話しても繋がらないし、メールの返信もない
まさか・・・
だからといって彼が浮気をしている確証はない
確かめるすべもない
今、私と彼をつないでいるのは、一本の細い今にも切れそうな細い糸だけ・・・
でも、それはいいの
彼を信じてるから・・・
彼を愛しているから・・・
お願い
私のもとへ帰ってきて
そう思いながら、尚美は拓也とお揃いのストラップを付けた携帯をギュッと握り締めた・・・
「彼は、私のものよ」
麗子は、自信ありげだった
親友の尚美には、悪いと思ったが拓也といると楽しい
ルックスだって、スタイルだって尚美よりいいわ
何より拓也は、いまどきのオシャレなイイオトコ
クリスマスもきっと私のところに拓也は来てくれる
麗子は、明日、拓也からの電話がかかってくるのを疑いもしなかった・・・
拓也は、迷っていた・・・
どうするか
尚美は、ずっと自分のことを愛してくれている
どっちかというと、麗子に比べて家庭的だが、なんか二人でいると癒される
きっと、明日、自分からの電話を待っているんだろう
情はまだ残っている
けど、今は麗子が好き
見た目もいいし、ちょっとエッチだし、友達にも自慢できる女だ
まだ、尚美に別れを告げていないし
麗子は、尚美の親友・・・
「あー、俺はどうすればいいんだ」
明日までどっちか一人、選ばなければいけない
あー、決められない
・・・
「そうか!」
拓也にある考えが浮かんだ
明日の夜、八時、先に電話をくれた方に会おう
二人とも、俺のことが好きなんだから、それでいい
答えは、以外と簡単だった
拓也には、どっちでもよかったのだ
ただ、イヴを二人で過ごせれば・・・
イヴの夜、ネオンの光が取り巻く街角の片隅で拓也は、電話を待っていた
カップルの笑顔が通り過ぎて行く
「あー、雪か」
イヴにぴったりの夜だ
プレゼントも買ったし、ディナーの予約もとったし、ホテルの下調べも完璧だった・・・
あと、5分・・・
拓也も緊張していた
時間だけが、音もなく過ぎていく
時計を見ると、もう八時を少しまわっていた
「さぁ、どっちだ」
拓也は、薄ら笑いを浮かべ、期待しながら着信を待っていた・・・
5分・・・
10分・・・
まだ、彼は余裕だった・・・
きっと、二人とも何か事情があって、電話かけるの遅れてるのだろうぐらいにしか考えていなかった
30分・・・
1時間・・・
拓也は、焦った
「そっかぁ、俺が、着信に気が付かなかっただけなのかも」
慌てて携帯を開いて見てみた
やはり着信はナイ
普段なら、携帯が鳴りっぱなしの拓也には信じられないことだった
拓也は、すでに寒さと絶望感にうちひしがれていた
寂しさとけだるさで、彼にはもう着信を待つ気力も残っていない
「あー、俺がバカだったのか」
やっと、彼は自分の愚かさに気付き、後悔し始めていた
深いため息をつき、おもむろに帰ろうとしたその時だった
すれ違った2人組の女の子の声に気付いたのは・・・
「早く、早くっ、Xmas合コン遅れちゃうよ〜」
聞き覚えのある声・・・
まぎれもなく、見覚えのある後ろ姿・・・
尚美と麗子だった・・・
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「クリスマスは、会おうって約束にしてたのに・・・」
尚美は心配だった・・・
そう、あれは一ヶ月前のこと
拓也は最近、私の親友の麗子とすごく仲がいい
私といるときより笑顔が多いし、メールだって毎日してるみたい
メールぐらいなら・・・
そのぐらいなら、いいよね
そんなことで、グチャグチャ言うかっこ悪い女にはなりたくない
でも、最近どうも拓也の様子がおかしい
電話しても繋がらないし、メールの返信もない
まさか・・・
だからといって彼が浮気をしている確証はない
確かめるすべもない
今、私と彼をつないでいるのは、一本の細い今にも切れそうな細い糸だけ・・・
でも、それはいいの
彼を信じてるから・・・
彼を愛しているから・・・
お願い
私のもとへ帰ってきて
そう思いながら、尚美は拓也とお揃いのストラップを付けた携帯をギュッと握り締めた・・・
「彼は、私のものよ」
麗子は、自信ありげだった
親友の尚美には、悪いと思ったが拓也といると楽しい
ルックスだって、スタイルだって尚美よりいいわ
何より拓也は、いまどきのオシャレなイイオトコ
クリスマスもきっと私のところに拓也は来てくれる
麗子は、明日、拓也からの電話がかかってくるのを疑いもしなかった・・・
拓也は、迷っていた・・・
どうするか
尚美は、ずっと自分のことを愛してくれている
どっちかというと、麗子に比べて家庭的だが、なんか二人でいると癒される
きっと、明日、自分からの電話を待っているんだろう
情はまだ残っている
けど、今は麗子が好き
見た目もいいし、ちょっとエッチだし、友達にも自慢できる女だ
まだ、尚美に別れを告げていないし
麗子は、尚美の親友・・・
「あー、俺はどうすればいいんだ」
明日までどっちか一人、選ばなければいけない
あー、決められない
・・・
「そうか!」
拓也にある考えが浮かんだ
明日の夜、八時、先に電話をくれた方に会おう
二人とも、俺のことが好きなんだから、それでいい
答えは、以外と簡単だった
拓也には、どっちでもよかったのだ
ただ、イヴを二人で過ごせれば・・・
イヴの夜、ネオンの光が取り巻く街角の片隅で拓也は、電話を待っていた
カップルの笑顔が通り過ぎて行く
「あー、雪か」
イヴにぴったりの夜だ
プレゼントも買ったし、ディナーの予約もとったし、ホテルの下調べも完璧だった・・・
あと、5分・・・
拓也も緊張していた
時間だけが、音もなく過ぎていく
時計を見ると、もう八時を少しまわっていた
「さぁ、どっちだ」
拓也は、薄ら笑いを浮かべ、期待しながら着信を待っていた・・・
5分・・・
10分・・・
まだ、彼は余裕だった・・・
きっと、二人とも何か事情があって、電話かけるの遅れてるのだろうぐらいにしか考えていなかった
30分・・・
1時間・・・
拓也は、焦った
「そっかぁ、俺が、着信に気が付かなかっただけなのかも」
慌てて携帯を開いて見てみた
やはり着信はナイ
普段なら、携帯が鳴りっぱなしの拓也には信じられないことだった
拓也は、すでに寒さと絶望感にうちひしがれていた
寂しさとけだるさで、彼にはもう着信を待つ気力も残っていない
「あー、俺がバカだったのか」
やっと、彼は自分の愚かさに気付き、後悔し始めていた
深いため息をつき、おもむろに帰ろうとしたその時だった
すれ違った2人組の女の子の声に気付いたのは・・・
「早く、早くっ、Xmas合コン遅れちゃうよ〜」
聞き覚えのある声・・・
まぎれもなく、見覚えのある後ろ姿・・・
尚美と麗子だった・・・
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